社長・役員対談

アニウェアの
これまでとこれから

  • 代表取締役社長安田勝己

  • 専務取締役プロデューサー稲田貴之

2015年2月6日に設立したアニウェア。アニメグッズ業界でキャリアを積んだ安田とファッション業界で新しい挑戦を繰り返してきた稲田が手を組んだことで、アニメ・ゲーム作品とコラボレーションしたファッションブランド『SuperGroupies(スーパーグルーピーズ)』は誕生しました。ここではアニウェアの過去、現在、未来。そして、どんな人物がアニウェアに必要なのかについて2人の本音をお届けします。

2015年2月6日に設立したアニウェア。アニメグッズ業界でキャリアを積んだ安田とファッション業界で新しい挑戦を繰り返してきた稲田が手を組んだことで、アニメ・ゲーム作品とコラボレーションしたファッションブランド『SuperGroupies(スーパーグルーピーズ)』は誕生しました。ここではアニウェアの過去、現在、未来。そして、どんな人物がアニウェアに必要なのかについて2人の本音をお届けします。

スペシャル対談アニウェアのこれまでとこれから

「ファッションにアニメを!」の原点

安田勝己(以下、安田) : 僕たちの対談ということで、読者の方へ向けてまずは僕たちのプロフィールやアニウェアが出来るまでの話しからはじめましょうか。

稲田貴之(以下、稲田) : 安田さんはずっとアニメイトグループのムービックでアニメグッズを作ってきたんですよね?

安田 : そうそう。はじめて担当したのは『らんま1/2』だった。丁度、アニメグッズの黎明期から僕はアニメに関連するグッズを作っています。

稲田 : 当時僕、小学生くらいですよ(笑)。

安田 : そうだよね。お会いする方によく言われるのが、「子供の時に買ってました!」、「知ってます!」だったりするから。その後の時代には『セーラムーン』という大きなムーブメントが起こったの。女性が男性キャラのグッズを買う文化が徐々に生まれていったんだよね。 僕はメインの仕事として、アニメグッズを作る仕事をしていたんだけど、ちょっと気が多いからさ。違うこともたくさんやってきていて。コンビニで販売するフィギュアを作ってみたり、トレーディングカードを作ってみたり。 色々なことをやりながらアニウェアが誕生するキッカケになったのは、2011年にオープンした原宿のエヴァンゲリオンストア(EVANGELION STORE TOKYO-01)かな。ここで稲田さんとも初めてお会いしたんだよね。

稲田 : そうですね。その当時、僕は原宿でショップをやっていて、エヴァのアパレルを企画したり販売していた関係で版権元様経由で依頼があったんです。原宿でエヴァの商品を売っていたのは僕しかいなかったので、白羽の矢が立ったというか。 今思っても、原宿のエヴァンゲリオンストアは画期的でしたよね。1Fはアパレルショップになっていて、2Fにグッズが置いてあるみたいな。エヴァの世界観を内装や商品で表現してたりとか。

安田 : エヴァってライセンスの裾野が広いし、お客様の幅も広かったからね。まさに今の先駆けって感じだよね。実際、手がけた僕たちとしてはこのストアって背伸びしている感じだったの。これまでアニメファン向けに作ってきた商品と違うアプローチだったから。でも、エヴァンゲリオンストアを通じて、何か新しい文化が生まれる予感を感じたのは事実だね。

高付加価値な商品を作る意義

安田 : 僕の話が長くなっちゃったね。稲田さんのプロフィールも聞かせて?

稲田 : 僕はずっとセレクトショップで働いていて。ずっとファッション業界で販売や仕入をしてきました。以前、勤めていた会社がコンセプトショップをたくさん集める事業をしていたんです。そこで、僕が携わっていたのがストリートカルチャーと日本のアニメ・ゲームをかけ合わせたショップでした。
『エヴァンゲリオン』のアパレル商品や『ダッシュ!四駆郎』と『NEW BALANCE』のコラボスニーカーを作ってみたり。

安田 : 今のSuperGroupiesにも通じるような商品だね。

稲田 : その頃にアニメコラボ商品を専門的に品揃えできるようなお店をつくるにはアニメグッズ流通に精通してる会社と取り組みをしたほうがいいなって考えるようなってきて。 コンセプトSHOPの企画書を書くようになっていました。 ちょうどそのころアニメイトグループでも新しいコンセプトショップをオープンする話が浮上してきて。 アニメイトグループに持ち込んだ企画書を形にするなら、当時ムービックの制作部門で偉いかただった安田さんに承認してもらわないと成立しないでしょう。という話なったんですよね。

安田 : 僕、当時は企画制作部長だったから(笑)。

稲田 : エヴァストアのOPENのときにご挨拶していたので1年ぶりくらいの再会でしたね(笑)。安田さんには何度も企画書を提出させていただきましたよね。最初に持っていったのは、お土産屋さんの企画書でした。そしたら「イマイチ」ってご指摘をいただいて。それから何度かやり取りをして、ファッション×アニメの方向性が決まったんですよね。

安田 : そうだね。それにはワケがあってさ。2000年台当時、食玩がすごく流行っていて、僕も火付け役の1人だったわけだけど。ハイクオリティのカプセルフィギュアを値段を下げて、大量に販売することを突き詰めてやった経験があったんだよね。これは厳しさと苦しさが凄いんだ(笑)。100万個売ることが前提になってしまうと、結果が10万個くらいになっちゃったらもう泣いちゃうくらい辛いの。こういった経験から、安いものに流されるのはダメかもって思いはじめて。それから色々と考えて、ファッションの世界には高付加価値があるということに気付いたんだよね。

稲田 : 商品の値段よりも高付加価値のある商品かどうかってことが大事ですよね。

安田 : うん。ここから『SuperGroupies』の前身である『2PMWORKS』が誕生したんだよね。

稲田 : 『2PMWORKS』は既存ブランドとアニメのコラボレーションする協業商品が50%。オリジナルが50%のECショップでしたよね。

安田 : 『2PMWORKS』がスタートした時は、「原宿カワイイ」みたいな方向性だったよね。最初は中々上手くいなかったなぁ。でも、色々試行錯誤をしていく中で、ターニングポイントになった商品は、2013年の『魔法少女まどか☆マギカ』のパンプスだったよね。

稲田 : ニュースサイトに取り上げていただいたり、SNSでも話題になったり。実際に受注もたくさんいただけましたよね。そこで、ファッション×アニメの勘所を掴めた気がしています。

お客様はこういったモノを望んでるだなって。じゃあ次は、この靴に合う鞄を作ってみよう。その鞄にピッタリなお財布を作ってみようって。ここで、商品展開の方向性も定りましたよね。

安田 : 当時は僕たちと同じようなことをやっている会社がほぼ無かったからね。だから、キャラクターと靴をコラボした企画をご提案しても、驚かれることの方が多かったし。

版権元様がそれだけビックリするんだから、お客様の目にはとても新鮮に映ったんじゃないかな?これは高付加価値なモノだって感じていただけたというか。こういった仕事をやり続けていかなくちゃいけないなって思ったね。

安易に色んな人が思いつくことを追っかけていってもしょうがないし。大変ではあるけど、続けていくことで価値が生まれるというか。

そういった意識が強くなってきたタイミングで、株式会社ムービック内の事業部からこの事業の分社化の話が出て、アニウェアの設立が決まったんだよね。

稲田 : 『2PMWORKS』も『SuperGroupies』に名称を変更しましたしね。熱狂的な人たちが作っている商品。熱狂的なお客様が集まってくるお店って意味を込めて。

興味があるから、海外で商品を販売する

稲田 : あれからずっと高付加価値な商品を作る。新しい文化を作るって気持ちで事業を行ってきて、組織も拡大しましたよね。

安田 : でも実際、稲田さんも僕もモノを販売して、お客様からお金をいただくことからは離れられないよね。

稲田 : はい。他のことやりたいとも思わないですし。

安田 : 例えば、IT業界の方って「新しいサービスを考えて事業化しよう」っていうのが自然な思考だと思うんだけど。でも、僕らは身体がそういう風に動かないよね。「お客様が何を求めていて、どうやったら売れるのな?」って視点でビジネスを見ちゃう。 ここから僕たち2人は一生離れられられないのかもね。後に続く人たちは分からないけど。でも、今のアニウェアのメンバーも考え方は近いよね?

稲田 : 皆、手に取れるモノが好きですよね。メンバーの大半がアニメやゲームが大好きなんですけど、コンテンツサイドではなくアニウェアに入社するのって、この理由が大きいと思っています。

安田 : そういったメンバーが作っている商品だから、お客様が手に取っていただいた時に喜んでいただけているじゃないのかな。

稲田 : 確かにそうですね。僕たちは一生モノを販売して、生きていきたいですし。そのためには、今の時代だと越境ECにも力を入れなくちゃいけませんし。

ただ、根底にあるのは海外のアニメ・ゲームファンの方にモノを届けたい。販売してみたいという気持ちなんです。ビジネスなので売上を作るのは前提ですけど、まずはやってみたいって気持ちの方が強いくらい。

安田 : 単純に興味があるよね。海外の方はどういう商品を買うんだろうな?って。これは挑戦してみないと分からない。例えば、絵の付いてるアニメグッズだったら絵を買うことと、タイトルを買うことが同義だからさ。ヒットタイトルだから欲しいという感じだと思うんだけど。

ただ、僕たちが販売しているのは、個人のライフスタイルに紐付いている趣味と深く関連性があるファッションアイテムじゃないですか?そこがどう共感を得るのかなって。だって、海外に行ってみたら、街の人の服装に日本人とは違うセンスを感じることってあるじゃない?

稲田 : ここが国によって傾向が異なる点ですよね。前例がないので、どういう人がどういったモノを買うのかって本当にやってみなきゃ分からない。

安田 : 僕はもしかしたら、そこに新しい何かがあるのかもしれないと思ってるの。「これが売れるの!?」とかさ。

稲田 : 日本国内では起きないような化学変化が起こる可能性がありそうですよね。

安田 : だって、もともと靴とECって相性が悪いって言われてたじゃない?でも、うちのお店だと顧客様に靴をお求めいただけている。僕たちはここで「ファッションにアニメを!」のカルチャーを広げていく糸口を掴んだわけで。だから、次は海外でモノを売ることにチャレンジしてみたいんだよね。

今の商品や宣伝にプラスオンできる発想を

稲田 : 海外は本当にどんなモノが売れるんでしょうね。そこから、『SuperGroupies』の「ファッションにアニメを!」って文化がどう広がっていくか楽しみですし。僕、新しい文化を作るってスタンスでモノを作るってすごく大事だと思うんですよね。

安田 : 確かにね。だから共感が生まれる商品が作れているという点はあるかな。「ただ面白いモノ作りたいです!」だけじゃないというか。

長年この仕事をしているから、思うことでもあるんだけど。どんな人がそういった素養を持っているかというと、探究心があって、夢中になれるってことだと思うの。やっぱり素直さが大事なんですよ。素直にお客様の望むものが考えられたり、どうすれば共感してもらえるのかに頭を悩ましても苦にならない人というか。 アニメやゲームが好きでこの業界に来る人が多いんだけど、やっぱり離れる人も一定数はいるわけで。そこの違いって結局、業界に入ることがゴールじゃない人なんだよね。ファンの皆さまの気持ちを汲み取りつつ、新しいモノづくり、文化作りをしていくことに熱狂できるというか。

稲田 : アニウェアのビジネスに対する目新しさだけで、この仕事をしてみたいと思っても続かないでしょうしね。僕は好きを形にできる人がアニウェアに向いてると思うんです。

安田 : そこは大事だよね。好きを形にしたい人ならいくらでもいるからさ。僕らは実際、高度なモノづくりや宣伝をしてると思ってるからね。まだ、十分じゃないしやることはたくさんあるんだけど。

『SuperGroupies』って、キャラクターを好きな人が買う商品を販売しているわけなんだけど、単純に絵が入っている商品じゃないでしょ?もう1ステップ、2ステップ先の仕事というか。だから、クリエイティブな発想がすごく大切。そういったことに挑戦する人って、現状を超えることを考えてると思うんだ

稲田 : 『SuperGroupies』の商品や宣伝を要素分解した上で、「もっと面白いモノが作れる!」、「もっと、バズる施策がある!」って言ってくれるとすごく嬉しいですよね。

安田 : 僕たちが今やっている仕事に何かをプラスオンできるって発想だよね。そういう人が入社したら、もっとアニウェアと『SuperGroupies』が盛り上がっていくと思う。そうなったら僕らも楽になるしね(笑)。

代表取締役社長・安田勝己(左) 取締役プロデューサー・稲田貴之(右)